ちょっと動くと大量の汗が
出る…代謝がいいから?
原因は?
お風呂に入った時、運動をした時、気温が高い時、人は誰でも汗をかきます。汗をかく量は個人差が大きく、人より多少発汗量が多くても、基本的に問題にはなりません。
しかし、気温や体温が上がっていないのにたくさんの汗をかく、ちょっと動いただけで滝のような汗が流れ日常生活に支障をきたしているという場合には、多汗症などの身体の異常を疑う必要があります。背景に重大な病気が隠れていることもあるため、「生理現象だから」と片付けず、一度当院にご相談ください。
その他
自律神経失調症
ストレス、生活リズムの乱れ、睡眠不足などによって自律神経のバランスが乱れる病気です。
発汗や動悸、めまい、ほてり、頭痛、胃痛、腹痛、下痢、ふるえ、吐き気、息切れ、食欲不振、イライラ、不安、うつ状態など、さまざまな心身の症状を伴います。
更年期障害
45~55歳を一般に「更年期」と呼びます。女性の場合は、特に閉経を境に女性ホルモンの分泌量が急激に減少します。これにより引き起こされる火照りや発汗、肩こり、疲労感、頭痛、腹痛、腰痛、月経異常、不眠、イライラ、不安などの心身の症状のことを、更年期障害と呼びます。
代謝異常
バセドウ病、糖尿病などでは代謝異常によって、多汗などの症状が引き起こされることがあります。
局所多汗症とは
手のひら、顔、腋、足裏、頭部などで限局的に多量の汗が出ることを「局所多汗症」と呼びます。限局的という点がポイントであり、全身の汗が多い「汗っかき」とはその点が大きく異なります。
手に持った書類が濡れてしまう、人と手をつなぐことに抵抗がある、シャツに大きなシミができる等、日常生活に支障をきたし、深くお悩みの方が少なくありません。
原因を調べると、何らかの病気が見つかることがあります。
局所多汗症の診断基準
- 発症が25歳以下である
- 左右対称性に発汗がみられる
- 睡眠中は発汗が止まっている
- 1回/週以上多汗のエピソードがある
- 家族歴がある
- それらによって日常生活に支障がある
局所的に過剰な発汗が明らかな原因のないまま6ヶ月以上認められ、さらに上記2項目以上が当てはまる方を局所多汗症の基準とします。
多汗症の症状と重症度分類
症状チェックしてみましょう
- 手のひら、腋など特定の部位が常に湿っている・濡れている
- 気温・室温が高いわけでもないのに汗がたくさん出る
- 気温、緊張、運動などが多汗のきっかけになることがある
- 手に持った書類が濡れる、恋人と手をつなげない等の支障が出ている
- シャツの腋に大きなシミができる
- 服が濡れ、1日に何度も着替えなくてはならない
- 発汗・多汗が心配で仕事や勉強に集中できない
- 日中は多汗だが、夜間には普通である
- 血縁者に多汗症の人がいる
多汗症の重症度分類
-
発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない。
-
発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある。
-
発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある。
-
発汗は我慢できず、日常生活に支障がある。
-
❸、❹を重症の指標としています。
多汗症の2種類の原因
原因がはっきりしている
「続発性多汗症」
全身性の病気
- 感染症
- 神経性疾患
- 低血糖
- 糖尿病
- 内分泌代謝異常 など
局所的な神経障害
- 外傷
- 悪性リンパ腫 など
薬の副作用
- 解熱剤
- 向精神薬
- ステロイド剤 など
原因が明らかではない
「原発性多汗症」
問診や検査などを行っても、上記のような原因を特定できない多汗症を指します。
治療
外用薬
原発性腋窩多汗症に対するエクロックゲルやラピフォートワイプ、原発性手掌多汗症に対するアポハイドローションなどの外用薬があります。
内服薬
多汗症の治療薬として臭化プロパンテリンの内服が有効です。
自力で大量の汗を
対策・予防法は?
汗の多さが気になる場合、以下のような方法で対策をすることをおすすめします。
多汗症の方にも効果は期待できますが、皮膚科で治療を受ける方がやはり確実です。多汗症が疑われる場合には、お早めに当院にご相談ください。
生活習慣を改善する
バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動は、自律神経のバランスを調整してくれます。
気温や体温が上がれば適量の汗が出る、そうでない時には汗が引く、という正しい身体の働きを回復させましょう。
運動などで汗をかくことを
おそれない
「汗が出るから」と極端に運動を避ける、暑さを避ける(1日中冷房の効いた部屋にいる等)癖がついてしまうと、汗腺の機能が低下します。汗をかいても問題のない場面では、過度に発汗の心配をしないようにしましょう。
お風呂もシャワーで済ませず、お湯に浸かってしっかりと汗をかくのがおすすめです。
※水分補給も小まめに、しっかりと行ってください。
汗対策グッズを活用する
制汗スプレー、脇汗パッド・シート、クリームなど、さまざまなグッズが市販されています。
自分に合うものを見つけ、試してみてもいいでしょう。
ストレスを溜めない・
解消する
ストレスは自律神経のバランスを乱し、多汗を招くことがあります。溜め込み過ぎず、小まめに解消するようにしましょう。
汗が気になり仕事・勉強に集中できない場合は、早めに皮膚科の受診を
多汗であること自体がストレスになるという場合には、そのストレスによってさらに発汗が促されるということがあります。このような悪循環に陥ると、自力での対策は難しくなります。「気にしないで」と言われても、なかなかできることではありません。早めに皮膚科を受診し、専門的な治療を受けましょう。