手荒れ(手湿疹・主婦湿疹)とは
手荒れとは、手の皮膚のブツブツ、乾燥、ひび割れ、ジュクジュクなどの形で炎症が起きている状態を指します。多くは、かゆみや痛みを伴います。
水や洗剤、薬剤などが原因となることが多いため、主婦湿疹とも呼ばれます。また飲食業の方、美容師・理容師の方の場合は、職業病として慢性的な手荒れが起こっていることが少なくありません。
手のひび割れを繰り返す…
こんな症状はありませんか?
手湿疹では、皮膚の様子が主に以下のような経過を辿って進行します。
進行するほど、治療にも時間がかかります。セルフケアを行っている方も多いでしょうが、良くならない・悪化する場合、繰り返す場合には、当院にご相談ください。
初期の「カサカサ」
指先、爪のまわり、指と指の谷間などがカサカサとしてきます。
指先や爪のまわりの皮がむけると、痛みを伴います。
進行期の「ひび割れ」
皮膚が厚く・硬くなります。
その後、ひび割れができると、強いかゆみ、赤みなどの症状も現れます。
また水仕事をした時など、痛みを伴います。
重症期の「ジュクジュク」
皮膚が剥がれ、常に痛みます。
出血、強いかゆみがあり、日常生活に支障をきたします。
手荒れ(手湿疹・主婦湿疹)の原因
主な原因は、水・洗剤・薬剤などによる刺激です。手の皮膚の表層の皮脂・水分が不足したり、繰り返しの物理的摩擦が加わることで、湿疹が起こります。特に、化学物質、アレルギー物質が含まれる場合、手荒れのリスクが高くなります。また、背景にアトピー性皮膚炎がある方は、皮膚のバリア機能が低下しているため、やはり手荒れが起こりやすくなります。
主婦湿疹とも呼ばれるように、調理や洗い物、洗濯、掃除などの家事をする方によく見られます。
手荒れ(手湿疹・主婦湿疹)と類似する疾患
手荒れとよく似た症状を伴う病気としては、以下のようなものがあります。
汗疱(かんぽう)
直径1~2mm程度の小さな水ぶくれが、手のひらや足裏に多数出現します。通常、赤み、かゆみを伴います。
数カ月ほどで自然に治ることが多いものも、しばしば再発を繰り返します。
異汗性湿疹
汗疱を基盤として起こる手荒れを、異汗性湿疹と呼びます。
掌蹠膿疱症
(しょうせきのうほうしょう)
手のひら、足裏などに小さな水ぶくれや膿が繰り返し発生する病気です。
手白癬
(てはくせん)
「手の水虫」です。多くは自分の足の水虫から白癬菌がうつり、発症します。皮膚の肥厚、パラパラと落ちるフケのようなものが認められます。かゆみはあまり強くありません。
治療法
皮膚の乾燥を防ぐための保湿剤を使用します。強いかゆみ、痛みなどがある場合には、ステロイド外用薬も併用します。手を洗うことで流れてしまうため、その場合は定期的に塗り直す必要があります。
また、水、洗剤、薬剤との接触を控えるという意味でも、水を通さないゴム手袋+綿手袋の使用が有効です。
手荒れの時の正しい
ハンドクリームの塗る方法
ポイント
塗る量
「パール粒1~2個分のクリームを両手に塗り広げる」のが目安です。
ハンドクリームなどの保湿剤を塗り過ぎて副作用が出るということはまずありませんので、乾燥がひどい場合など、邪魔にならない程度に多めに使用しても構いません。
塗り方
隅々まで塗り広げることが大切です。また指先、爪のまわりも塗り忘れないようにしてください。
就寝時などは、ハンドクリームを塗ってから、綿やシルクの手袋をはめることで、より高い保湿効果が期待できます。また、無意識に皮膚を引っ掻き、傷つけてしまう心配が少なくなります。
塗るタイミング
手を洗って、またはお風呂からあがって15分以内に塗りましょう。仕事などのご事情で1日に何度も手を洗うという方の場合、その都度の塗布が必要です。
基本的に1日に何度塗っても構いませんが、生活しているうちにどうしても落ちてしまうため、少なくとも1日4回は塗り直すようにしてください。
ひどい手荒れになる前に
対策・予防方法
手荒れは、以下のような方法で予防することが可能です。水、洗剤、薬剤を取り扱う機会の多い方は、ぜひお試しください。
- 水、洗剤、薬剤と触れる時には、ゴム手袋と内側に綿手袋をつけましょう。
- 洗い物の時には、油汚れを事前にキッチンペーパーで拭き取る、食洗器を使用するなどの方法で、手に加わる刺激を減らしましょう。
- 手荒れになる前から、ハンドクリームを使用するなどして手の保湿を心がけましょう。