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湿疹

湿疹とは

湿疹とは湿疹は、皮膚の表層に起こる炎症のことです。
赤みがあるもの、盛り上がっているもの、カサカサしたもの、水ぶくれになるもの、膿を持つものなど、さまざまな種類があります。またしばしばかゆみ、場合によっては痛みを伴います。

急性湿疹と慢性湿疹の違い

急性湿疹

発症してから数日以内のものを指します。
主に、以下のような症状を伴います。

  • かゆみ
  • 赤み、腫れ
  • ポツポツとした小さな水ぶくれ、膿

慢性湿疹

発症後、なかなか治らず、慢性化したものです。
主に、以下のような症状を伴います。

  • 皮膚のカサカサ、ガサガサとした乾燥
  • 色素沈着
  • 皮膚が厚く、硬くなる

湿疹の原因はストレス?
内臓疾患が関与?

湿疹の原因は、外的要因、内的要因に分けられます。

外的要因

  • 衣類などとの摩擦、引っ掻くことによる刺激
  • 紫外線、温冷
  • 花粉、ハウスダスト
  • 細菌、ウイルス、真菌の感染
  • 薬剤、化学物質

内的要因

  • 発汗、汗の放置
  • 皮膚のバリア機能の低下
  • 免疫力の低下
  • アトピー素因

内臓疾患が原因で皮膚が
変化する「デルマドローム」

湿疹は、内臓疾患など、以下のような疾患を原因として現れることがあります。

肝臓病

軽度であれば皮膚症状はありませんが、進行すると、皮膚や白目が黄色っぽくなる黄疸が現れることがあります。
その他、首・胸・顔・手のひらなどに赤い斑点ができる、毛細血管が透けて見えるといった皮膚症状が見られることもあります。

糖尿病

糖尿病が進行すると、湿疹などの皮膚炎が起こりやすくなります。免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすくなる、帯状疱疹を発症しやすくなるといったことが懸念されます。
また、手や足にできた傷が治りにくく、潰瘍化するおそれも高くなります。進行すると組織が壊死し、最悪の場合には患部の切断が必要になります。神経障害によって傷に気づきにくいことも、潰瘍や壊死のリスクを高めます。

高脂血症

高脂血症は自覚症状の乏しい病気ですが、手足の関節・アキレス腱・まぶたなどに、黄色~赤褐色の大小の結節型または平らな腫瘍ができることがあります。
糖尿病も高脂血症も、健康診断などで早期発見し、速やかに適切な治療につなげることが、合併症の予防になります。

腎臓病

慢性腎臓病では、皮膚のかゆみや乾燥、色素沈着、爪の白濁・変形、むくみといった症状が見られることがあります。

内臓悪性腫瘍

消化器のがん、悪性リンパ腫の場合は皮膚のかゆみが見られることがあります。胃がんの場合はしばしば、首・腋・鼠径部などで皮膚の黒色化・肥厚を伴う黒色表皮腫を合併します。
その他、茶色く盛り上がったいぼ、木目状・環状の紅斑などが、内臓悪性腫瘍に合併することがあります。

湿疹の主な症状

湿疹の主な症状
  • かゆみ、痛み
  • 盛り上がり
  • 赤み、腫れ
  • 小さな水ぶくれ、膿疱
  • カサカサ、ガサガサとした乾燥
  • ジュクジュク
  • 乾燥、ひび割れ
  • 色素沈着

主に、上記のような症状が見られます。

湿疹の種類

湿疹には、以下のようにさまざまな種類があります。

乳児湿疹

生後2週間~数カ月に現れる湿疹です。

乳児脂漏性皮膚炎

生後は、一時的に皮脂の分泌が盛んになります。これにより、頭皮、眉のまわり、額、頬などにカサカサした赤み、赤いブツブツとして湿疹が現れます。

刺激性接触皮膚炎

唾液・食べ物を原因として口回りに、おむつ・衣類との摩擦を原因としてその接する部位に広く、それぞれ湿疹が現れます。

アトピー性皮膚炎

乳児では2カ月以上にわたって湿疹が続いている場合には、アトピー性皮膚炎を疑います。
特に耳・口回りなどの顔、首に湿疹が現れます。また悪化し、全身に広がることもあります。

主な症状
  • かゆみ、赤み
  • 皮膚の乾燥、肥厚
  • ジュクジュク

手荒れ・手湿疹(主婦湿疹)

水・洗剤・薬剤などによる刺激によって起こる、手の湿疹です。
皮膚の乾燥やひび割れ、ジュクジュク、赤み・腫れ、かゆみ・痛み、水ぶくれなどの症状が見られます。

あせも(汗疹)

高気温・高湿度、厚着などによってたくさん汗をかくことを原因として、汗が出る管が詰まることで発症します。
プツプツとした盛り上がり、赤みなどの症状が見られます。

汗疱・汗疱状湿疹・
異汗性湿疹

手のひらや足裏、指の間などに小さな水ぶくれが多数現れ、赤みやかゆみを伴います。
多汗症や金属アレルギー、アトピー素因などが原因と考えられます。

アトピー性皮膚炎(大人)

大人のアトピー性皮膚炎は、生活習慣の乱れ、ストレス、ホルモンバランスの変化などを主な原因として発症します。湿疹や水ぶくれ、かゆみなどが、主に上半身に左右対称に現れます。

脂漏性皮膚炎

皮脂の過剰分泌、皮膚常在菌のマラセチア、不十分な洗顔や入浴、紫外線、乾燥、精神的ストレス、寝不足、肥満、ホルモンバランスの乱れなどが原因として挙げられます。
顔、頭皮など、皮脂の分泌が多い部位に、赤みや小さな盛り上がり、フケなどが見られます。

接触皮膚炎(かぶれ)

うるしやアロエなどの植物、金属、化粧品、染毛剤、薬品などとの接触が原因となり、アレルギー症状として湿疹が現れます。接触部位の赤み、腫れ、かゆみといった症状が見られます。

皮膚欠乏性湿疹

加齢、過度の洗浄、皮膚のバリア機能の低下、外的刺激などを原因として、カサカサとした湿疹が現れます。ご高齢の方に、湿度の低い季節によく見られます。膝~足首が好発部位です。

貨幣状湿疹

直径10~50mmのコイン大の湿疹が、手足や腰などに現れます。強いかゆみ、引っ掻くことによる傷、ジュクジュク、かさぶたといった症状を伴います。虫刺され、かぶれなどに続いて発症することが多くなります。

発疹・かぶれ・蕁麻疹の違い

湿疹と発音がよく似た「発疹」、また多くの方にとってイメージが似ている「かぶれ」「蕁麻疹」との違いについてご紹介します。

発疹

厳密に言うと病名に分類される「湿疹」に対して、「発疹」は症状のことを指します。
特に、急性の皮膚のできものを指すのが一般的です。

かぶれ

かぶれは正式には「接触皮膚炎」と言います。
うるしやアロエといった植物、金属、化粧品、染毛剤、薬品などと皮膚が接触することを原因として現れます。湿疹の1つに分類されます。

蕁麻疹

湿疹と蕁麻疹は異なる病気です。
かゆみ・赤みなどを伴う湿疹は、通常数日間は続きます。
一方の蕁麻疹では、皮膚の一部が蚊に刺されたようにぷっくりと盛り上がり、発症後数十分~1日以内に跡形もなく消失します。ただし、何度も繰り返すことがあります。

治す方法や治療

湿疹の種類によって異なりますが、主に以下のような治療を行います。

外用薬

外用薬ステロイド、抗菌薬・抗真菌薬などを外用します。
発症した部位や季節、使用感などを考慮し、軟膏・クリーム・ローションなどのタイプから選択します。

内服薬

内服薬かゆみに対する抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の内服、全身性の湿疹に対するステロイドの内服などを行います。

原因を取り除きながら
スキンケアの両立

湿疹のそもそもの原因が特定できれば、その原因の除去は非常に有効です。
原因となる物質や習慣としては、シャンプー、化粧品、染毛剤・パーマ液、洗剤、冷たい水・熱い湯、手や身体などの洗いすぎ、衣類やおむつとの摩擦、汗の放置、厚着、高気温・高湿度、金属、植物、ゴム、ストレス、生活習慣の乱れなどが挙げられます。薬物療法でかゆみを抑え、無意識に引っ掻かないようにすることも大切です。
またスキンケアも欠かせません。シャンプーや化粧品、洗剤などについては、低刺激のものを選びましょう。お風呂で身体をゴシゴシと擦らないこと、入浴後はすぐに保湿をすること、汗をかいた時にはきちんと拭き取る・洗い流すことなどに注意することも、湿疹の改善や再発予防に役立ちます。