カサカサ、痒い、繰り返す
乾燥肌(皮脂欠乏症)とは
乾燥肌は、一般に皮膚が慢性的に乾燥している、カサカサ・ガサガサしている状態を指します。医学的には、皮脂欠乏症という病気である可能性が高くなります。
皮膚は、皮脂や水分から成る皮脂膜によって、外部からの刺激から守られています。何らかの原因によって皮脂や水分が不足し、皮膚が乾燥している状態が「皮脂欠乏症」となります。
主な症状は、乾燥とかゆみです。かゆみから掻き壊し、湿疹を起こすこともあります(皮脂欠乏性湿疹)。体質だと諦めている方が少なくありませんが、適切な治療により症状を改善することが可能です。
乾燥肌にお困りの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
乾燥肌(皮脂欠乏症)の原因
皮脂欠乏症による乾燥肌の原因は、外的因子と内的因子に分けられます。
外的因子(体外からの刺激)
- 湯、石鹸、洗剤、薬剤との接触
- 書類、家具などのとの接触
- タオル、衣類との摩擦
- 低湿度
- エアコンなどの風の浴び過ぎ
- 身体の洗いすぎ
- 紫外線
など
内的因子(体内からの刺激)
- 加齢
- 水分摂取量の不足
- 食生活の乱れ
- アレルギー体質
など
乾燥しやすい身体の部位
皮脂の分泌量は、身体の部位によって異なります。
乾燥しやすい(皮脂が不足しやすい)部位に症状が現れている場合には、皮脂欠乏症の疑いが強まります。
以下で、特に乾燥しやすい部位を挙げます。
- 目元
- 口元
- 首
- デコルテ
- 脇腹
- 肘、手
- 膝、すね
- かかと
治療
皮脂欠乏症による乾燥肌は、治療により改善が可能です。
外用薬(塗り薬)
炎症を抑えるためのステロイド外用薬、皮膚の乾燥を防ぐ保湿薬を外用します。
内服薬(飲み薬)
かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬の内服が有効です。
掻き壊しの予防にもなります。
ステロイド外用薬の注意点
誤った使用をすると、ニキビ、生理痛、場合によっては免疫力の低下などを引き起こす原因となります。
量、頻度、範囲など、用法・用量をきちんと守り、副作用を防ぎましょう。
抗ヒスタミン薬の注意点
ヒスタミンは、かゆみの原因となる物質です。一方で、記憶力を高める・活動量を増やすという役割を担っている物質でもあります。抗ヒスタミン薬の使用により、これらの機能の影響を及ぼすことがあります。心配なことがございましたら、お気軽に医師にお尋ねください。
乾燥肌予防のために
意識したい生活習慣
お風呂の入り方・お風呂後のスキンケア
ゴシゴシと擦らない
石鹸をよく泡立てて、やわらかいタオルまたは手のひらで、優しく肌を洗いましょう。
シャンプー、洗顔料を使う際も同様に優しく洗います。
お湯はぬるめに
浴槽に張るお湯、シャワーから出すお湯は、ぬるめにしましょう。熱い湯は、皮脂が過剰に落ちる原因となります。
40℃以下が目安です。
身体を温めたい時には、
入浴剤を
ぬるめのお湯だと身体が温まらないという場合には、保温効果・保湿効果のある入浴剤の使用がおすすめです。
お風呂からあがったら、
すぐにスキンケアを
お風呂からあがって身体の水分を拭き取ったら、できるだけ早く化粧水、保湿クリームなどでスキンケアをしましょう。保湿が遅れると、それだけ皮膚が乾燥しやすくなります。
室温だけでなく、部屋の湿度にも注意
エアコンを使用する際、一般的には室温に注目します。しかし、冷房・暖房のいずれの場合も部屋の湿度が下がりますので、加湿器などを併用して50~60%を維持しましょう。
加湿器が使えない職場などでは、化粧水などで小まめに皮膚の潤いを補ってあげることが大切です。
十分な睡眠により、細胞の
修復・再生を促す
睡眠不足によって皮膚のターンオーバーが遅れると、乾燥肌などの肌トラブルが起こりやすくなります。
7~8時間以上を目安に、十分な睡眠をとり、皮膚の細胞の修復・再生を促進し、肌トラブルを予防しましょう。
就寝・起床の時刻を一定にすることも大切です。
乾燥肌予防のために
見直すべき食材
肌細胞を生成するタンパク質、免疫力を高めるビタミンC、新陳代謝を促すビタミンA、皮膚・粘膜の状態を守ってくれるビタミンB2・B6などを意識的に摂取しましょう。
それぞれの栄養素が豊富に含まれる食材をご紹介します。
タンパク質 | 肉、魚、大豆 など |
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ビタミンC | イチゴ、ミカン、キウイ、ブロッコリー など |
ビタミンA | にんじん、牛レバー、うなぎ など |
ビタミンB2・B6 | 納豆、アボカド、卵、バター など |