「白」「黒」「赤」「黄」
にきびの種類・症状
にきびとは
にきびとは、主に10~20代、場合によっては30代以上でも見られる、皮膚にできる発疹です。毛穴に皮脂が溜まり、炎症が起こることで小さく、赤く隆起します。額、頬、口回り、下顎などによく見られます。
数日で治ってしまうものから、にきび跡として残ってしまうものまで、重症度はさまざまです。
にきびは、正式には「尋常性ざ瘡」と呼びます。
にきびの種類
にきびは、以下のようにいくつかの種類に分けられます。白にきびが一番軽症で、進行すると黒にきび、赤にきび、黄にきびへと変わっていきます。
白にきび
毛穴に皮脂が溜まり、その皮脂が古くなっています。
毛穴の出口は閉じているため、白色~乳白色に見えます。
初期段階・症状
- 白色~乳白色の変色
黒にきび
小さく盛り上がり、毛穴の出口が開いています。
皮脂の酸化によって、中央部が黒っぽく見えます。
酸化段階:症状
- 黒っぽい点
- ザラザラ感
赤にきび
毛穴で雑菌や細菌が繁殖し、炎症を起こしています。
盛り上がりが大きくなり、赤く見えます。
炎症段階・症状
- 赤み
- 皮膚の盛り上がり
- かゆみ、痛み
黄にきび
雑菌や細菌の繁殖によって膿が生じています。
炎症が真皮に達したり、潰したりすると、にきび跡が残る可能性が高くなります。
化膿段階・症状
- 皮膚の大きな盛り上がり
- 膿疱
- かゆみ、痛み
にきびの部位別(顔・身体)原因
にきびは主に「毛穴が皮脂で詰まり炎症が起こる」ことで発生します。
ただ、にきびができる部位ごとに、少しずつ原因が異なります。
額・おでこのにきび
前髪で隠すこともできますが、髪の毛によって刺激が加わり、症状が悪化するということがあります。
原因
思春期に見られるホルモンバランスの変化によって、皮脂の分泌が過剰になることで発生します。
また大人になってからは、生活習慣の乱れ、ストレス、シャンプー・洗顔料のすすぎ残し、ホルモンバランスの乱れ、前髪による刺激などが主な原因となります。
身体の不調
ストレスや生活習慣の乱れによって、疲労感やイライラなどの症状を伴うことがあります。
眉間・眉毛(Tゾーン)の
にきび
ひと目につきやすく、また触ってしまいがちなにきびです。
原因
思春期のホルモンバランスの変化によって、皮脂が過剰に分泌されることで発生します。
大人になってからは、手で触ってしまう癖、メイク、脂っこいもの・アルコールの摂り過ぎなどが原因になることもあります。
鼻のにきび
もともと、鼻をさわる癖、鼻をかむ、メイクをするといったことで刺激を受けやすい部位です。
鼻は、にきびが悪化しやすい部位と言えるでしょう。
原因
鼻の皮脂の分泌量の多さ、毛穴の開き、手で触る等の刺激などを主な原因とします。
また花粉症などのアレルギー性鼻炎で鼻を頻繁にかみ、にきびができるというケースもあります。
身体の不調
大人の場合は、疲れやストレスが溜まっている時に鼻にきびがよくできます。生活習慣を見直しましょう。
頬(片側・両方)のにきび
思春期も成人後も、にきびのできやすい部位です。
また、悪化させたり潰したりすることで、にきび跡が残ることも多くなります。
原因
頬は比較的皮脂の分泌量が少ない部位です。ホルモンバランスの乱れ、皮膚の乾燥、枕など寝具との摩擦・圧迫、メイクなどが主な原因となります。
口周り・唇のにきび
他の部位に比べ、悪化しやすい・再発しやすいという特徴があります。
またしばしば、痛みを伴います。
原因
ホルモンバランスの変化に加え、ストレス、髭剃りによる傷、メイク、あるいは婦人科疾患などが原因となることがあります。
顎(あご)のにきび
衣類やマスクと当たりやすい、ついつい触ってしまうことから、悪化しやすい・にきび跡になりやすいタイプと言えます。
原因
ホルモンバランスの変化、髭剃りによる傷、メイク、摩擦に伴う刺激、ストレス・疲労などが主な原因と考えられます。
身体の不調
身体の不調としては、疲労や睡眠不足などがよく見られます。
フェイシャルライン
原因
ホルモンバランスの変化、肌の乾燥、ストレス、睡眠不足、免疫力の低下などが主な原因と考えられます。また枕など寝具との摩擦・圧迫が原因になることもあります。
身体の不調
疲労、睡眠不足などがある時に、しばしばフェイシャルラインでにきびが発生します。
背中のにきび
皮膚の厚い背中のにきびは、顔のにきびより悪化しやすい・治りにくいという特徴があります。
原因
洗い忘れ、石鹸・シャンプーなどのすすぎ残し、ホルモンバランスの変化、ストレスなどが主な原因と言われています。
身体の不調
背中のにきび治療を行っても治らないという場合には、マラセチア毛包炎や毛孔性苔癬などの他の病気が疑われます。
にきびの重症度を
見分けるには!?
日本皮膚科学会のにきび治療のガイドラインに基づき、重症度を4段階に分類します。
尋常性ざ瘡の重症度の
判定基準
軽症
顔の片側の炎症性皮疹が5個以下
中等度
顔の片側の炎症性皮疹が6~20個
重症
顔の片側の炎症性皮疹が21~50個
最重症度
顔の片側の炎症性皮疹が51個以上
痛み・痒み・にきび跡が残るにきび
痒みのあるにきび
炎症が強くなると、かゆみの原因となるヒスタミンの放出量が増加します。
市販のかゆみ止めには、にきびには適さないもの・悪化させてしまうものがあるため、かゆみが強い場合には皮膚科を受診しましょう。
痛みのあるにきび
皮膚の深い位置に炎症が広がると、かゆみに加えて痛みが出るようになります。
にきび跡が残る可能性が高いため、皮膚科を受診して治療を受けるようにしてください。
にきびと似ている皮膚の病気
にきびと似た見た目、症状を持つ皮膚の病気をご紹介します。
誤った対処によって悪化することもあるため、自己判断せず、皮膚科の医師に相談しましょう。
粉瘤
皮膚下に発生した袋状の構造物に、皮脂や角質が溜まり、盛り上がります。通常、にきびよりも大きい状態で認められます。放置していると、だんだんと大きくなります。炎症を起こした場合には、痛み、赤みなどの症状も見られます。
マラセチア毛包炎
マラセチアという常在菌を原因として、かゆみを伴う赤いポツポツとした盛り上がりが発生します。悪化すると、白い膿が出るようになります。多くは、胸や背中に現れます。治療では、にきび治療薬ではなく、抗真菌薬が必要です。
脂漏性皮膚炎
皮脂の過剰な分泌によって、皮膚に炎症が起こります。顔、頭などに赤みが広がり、しばしばかゆみを伴います。毛穴で炎症が起こるにきびとは区別されます。マラセチアの異常な増殖、ストレスなどが関与しているものと思われます。
顔ダニ
ヒトの顔にもいる毛包虫(ダニの一種)が増えすぎ、にきびに似た赤いブツブツが発生します。皮膚のひきつれ、かゆみを伴うこともあります。毛包虫が増える原因は、皮脂、化粧品などの油分にあると言われています。
稗粒腫
1~2mm程度の白いブツブツが、目のまわりや頬に発生します。先天的なもの、火傷・傷を原因とするものがあります。治療では、注射針やレーザーで穴をあけ、圧出器で中身を取りだします。気にならない場合には、基本的に治療は不要です。ただ、他の病気との鑑別のためにも、皮膚科で診断を受けることをおすすめします。
めんちょう(おでき)
鼻などの顔にできるおできです。黄色ブドウ球菌が増殖し、炎症を起こすことで発生します。赤く腫れたり、膿が溜まることもあります。治療では、抗生物質を使用します。
口唇ヘルペス
唇やその近くにできる、チクチクした痛みを伴う水ぶくれです。単純ヘルペスウイルスの感染を原因とし、免疫力が低下した時などにしばしば再発します。まわりの人にうつしてしまうことがあるため、早めに受診してください。
扁平いぼ
ヒトパピローマウイルスの感染を原因として発生する、多くは平らないぼです。20~40代の女性に好発します。小さな傷などから感染するため、メイクで顔を触る、顔そりをするといったことでいぼが増えていきます。
水いぼ
バリア機能が低下した皮膚に伝染性軟属腫ウイルスが入り込み、感染・発症します。2~3mm程度の、ツヤツヤとしたいぼが現れます。伝染性軟属腫ウイルスは、プールなどで、しばしば子どもが感染します。
にきび治療
奈良なかの皮ふ科では、保険・自費のいずれのにきび治療にも対応しております。
基本的には保険の治療で、ご希望のある場合に自費の治療で対応いたします。また自費を選択される場合には、費用について詳しく説明いたしますので、ご安心ください。
保険・自費のいずれの場合も、お薬を処方するだけでなく、洗顔・保湿の方法、メイクの使い方、紫外線対策の指導などを行い、にきびの早期改善・再発予防を図ります。
保険診療のにきび治療
軽度~中等度のにきびについては、ほとんどが保険の治療で改善できます。
外用薬
にきびの原因菌を殺菌する抗菌薬、毛穴の詰まり・ピーリング作用の期待できる外用薬などを使用します。
内服薬
主に、にきびの原因菌を抑制する抗菌薬を使用します。必要に応じて、皮脂の分泌量をコントロールするビタミン剤を処方いたします。
漢方
皮脂の分泌・炎症を抑えるもの、にきびの発生しにくい体質へと導くものなど、漢方もご用意しております。西洋薬の使用に抵抗がある方、体質から改善したい方はお気軽にお伝えください。
当院が取り扱う外用薬・内服薬
外用薬
ディフェリン
皮膚の角化を調整し、毛穴の詰まりを改善します。治療に加え、予防にも役立ちます。
ベピオ
にきびの原因菌を殺菌するとともに、ピーリング作用の働きで古い角質を除去します。
デュアック
強い効果の期待できる治療薬です。耐性菌を生む可能性があるため、期間を限定し慎重に使用します。
エピデュオ
難治性のにきびにも効果が期待できます。ただし副作用が強く出ることもあるため、期間を限定し慎重に使用します。
内服薬
ミノマイシン
抗炎症作用によってにきびを改善します。また細菌のタンパク質合成を阻害し、原因菌の増殖を抑制します。
ビブラマイシン
ミノマイシンと同様の効果を持ちながら、副作用が少なくなっています。特に炎症性のにきびの治療に適しています。
ロキシスロマイシン
原因菌の増殖を抑える作用、殺菌作用があります。特にアクネ菌に対して高い効果が期待できます。
イソトレチノイン(自費治療)
皮脂腺の縮小による皮脂の分泌抑制、皮膚の角化抑制による毛穴の詰まりの改善、抗菌・抗炎症作用を備えています。難治性のにきびにも効果が期待できます。
にきび跡の種類
にきび跡とは、にきびができた後、何らかの形で残ってしまう跡のことを指します。
にきびを治療せず放置したり、潰してしまった場合に、にきび跡が残りやすくなります。
色素沈着
茶色っぽい跡が残ります。
炎症に伴いたくさん作られたメラニン色素が、ターンオーバーの遅れ、炎症の深さなどによって排出しきれなかった場合に発生します。
赤み
炎症が治まってからもしばらくは赤みが残ります。
損傷した組織を修復する過程で発生した毛細血管によって、赤く見えます。
しこり
炎症が皮膚の深い位置まで達し、組織の再生が阻害されることで、しこりが残ります。
クレーター
炎症が治まって、組織が再生されてからも、デコボコとしたくぼみが生じるにきび跡です。
主に、黄にきびを潰してしまうことで発生します。
ケロイド
同じところでにきびの再発を繰り返した場合などに、皮膚が突っ張ったり、引きつれたりするにきび跡です。
にきび・にきび跡が
できにくい肌を目指す方法
にきびができにくい肌にする方法
内臓と同じように、皮膚も健康状態を良くすることで、病気・トラブルが起こりにくくなります。
栄養バランスの良い食事
肌や爪、髪の毛などを作るタンパク質、ビタミン類、食物繊維などを意識して摂取するようにしましょう。ビタミンの中でもビタミンB2・B6は、皮脂の分泌を調整したり、色素沈着を防いだりする作用が期待できます。
十分な睡眠
身体の組織の修復は、主に成長ホルモンによって、特に睡眠中に集中的に進みます。成長ホルモンは、入眠してから3時間後から分泌されると言われています。7~8時間以上を目安に、しっかりと睡眠をとりましょう。
適度な運動
運動は、血行や新陳代謝の促進、ストレス発散、便秘の解消、睡眠の質の向上など、さまざまなメリットをもたらします。楽しめる、続けられる運動を見つけましょう。
にきび跡ができにくい肌に
する方法
にきび跡は、にきびが治る過程や治った後に発生します。
にきびができてしまってからでも、以下のような方法により、にきび跡が残るリスクを下げることが可能です。
すぐに皮膚科を受診し、
適切な治療を受ける
早期に皮膚科を受診し、にきびが小さい・少ないうちに治療を開始することで、にきび跡が残りにくくなります。
にきび跡予防として、もっとも確実な方法と言えるでしょう。
正しい洗顔・保湿
洗顔料をよく泡立て、泡を転がすようにして優しく洗いましょう。泡をしっかりと落としたら、タオルを軽く押し付けるようにして水気を取り、すぐに保湿をします。
洗顔は朝と夜の1日2回を、保湿は洗顔後・入浴後の1日2~3回を、それぞれ目安としてください。
紫外線対策
紫外線は、色素沈着の原因の1つとなります。
日焼け止めクリーム、日傘、帽子、サングラスなどで、紫外線対策を徹底しましょう。
触らない・潰さない
汚れた手でにきびを触ると、治りが遅くなったり、悪化させる原因になります。
またにきびを潰す行為は、色素沈着やクレーターの重大な原因となります。膿を持ったにきびはふとした拍子に意図せず潰してしまうことがあるため、やはり早期のうちに治療を行うことが大切になります。